音楽豆知識 縦の音楽・横の音楽の巻っ!
Contents
大ざっぱに分けると 音楽の「作り」は 基本的に3つ
🎵 こんにちは、どらみです。(2022. 5.12 本文の一部を書き直しました →内容自体は変わっていません)
🎵 音楽豆知識シリーズは、音楽専門でなくても、演奏しなくても、
一般教養として こんなことわかるといいな・・
日々の生活、心ゆたかに過ごしたいな・・・
🎵 そのような方たちに、
音楽の情報、知識、小ネタを わかりやすくお伝えしたいという気持ちで 記事を書いています。
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🎵 今回は (おおざっぱですが)「音楽の作り」を カンタンに表すと
大きくわけて 3種類あるぞ~ と知ってほしいのです。
(例外もあるし、もう少し 専門的な『形式』 の話も 脇に置いて・・・)
モノ・ホモ・ポリ+phony と 覚えちゃおう~!
🎵 ホントにおおざっぱだけれど、
音楽の「作り」は
ざっくり 「3種類」 (例外や 細かいことは除く)
1 mono (モノトーンとか モノクロみたいな言葉もあるでしょ?)+phony,
2 homo(ホモゲナイズド ミルク成分均一に調整した牛乳)+ phony,
3 poly (ポリ→多、複数の意味。ポリエステル、ポリエチレン・・)+phony
🎵 この 3つ、 モノ、ホモ、ポリ + phony が
大まかに どんな感じの音楽なのか? わかれば十分です^^
🎵 まだ hetero (異なる、他の・・)とかもあるんですが、今は 覚えなくていいので
説明省略しますね。
(豆知識オマケ:語源)
🎵 ギリシア語で 声、声部、音・・を意味する 「phony」 → telephone なんぞも、
tele (遠くへ飛ばす、遠隔、というイメージの接頭語) + phone (音)で、
音を遠くへ飛ばす(道具) → 「電話」
🎵 ちょっと脇道にそれるけど、ギリシア、ラテン語系の 接頭語(prefix)、接尾語(surfix=後ろにくっついて意味をなす言葉)と、 メインの言葉は、よく「足し算」されて、
現代でも 意味の通じる「ことば」になっていることが ひじょーに多いです。
語源(ethmology)の大好きな どらみです^^ → 語学、とても面白く 覚えやすくなるから。
ニホンゴの漢字、「部首」と「つくり」みたいな感じで わかりやすくなるんですよ~^^
Monophony ☆ モノフォニー って何?
🎵 モノフォニー =monophony とは・・・
mono (単一の、ひとつの) + phony (声、声部、音)
🎵 ↑ の 手描き 楽譜は L.V. Beethoven(ベートーヴェン) の 交響曲 第9番
一番有名な「歓喜の歌 第四楽章」の メインテーマ。 実際の演奏では、このテーマを
最初に演奏するのは、低音の弦楽器、コントラバスとチェロ。ユニゾン(まったく同一のメロディを
ハモらずに)で弾きます。
🎵 この「ハモらずに」 同一のメロディ(単旋律)を 歌う、演奏する。
ハーモニーを 伴わない 「単旋律」のことを
モノフォニー (monophony) といいます。
🎵 この後、次第にヴィオラ→2部のヴァイオリンが加わり、
細長い 管楽器、ファゴット(バスーン)が、美しい「対旋律」を奏でて、
ハーモニーが生まれていきます。
🎵 ハモると・・・その時点で「モノフォニー monophony」とは
呼ばなくなるので(← ここ大事!) 覚えてくださいね~^^
🎵 (また 語源豆知識 オマケ)
通称「第九」とか「合唱付き」といわれる Symphony (シンフォニー ほら、これもphony がついていて・・・sym は 漢字の「共」というイメージ。シンフォニーは さまざまな音が「共に響き合う音楽」 というのが 語源です。 部首みたいな感覚でみると、アルファベット言葉も
覚えやすい(脳に残りやすい?)・・・あくまでも 私見ですが^^;
Homophony ☆ ホモフォニーって 何?
🎵 ホモフォニー = homophony とは・・・
homo(同一の、同じの・・・ギリシア語由来) + phony (声、声部、音)
🎵 カンタンにいうと、
「ひとつのメロディが主役」 +「主役メロディをサポートする ハーモニー部分」
(=従者 )→ 主役を引き立てる役割、歌や楽器演奏のメロディと伴奏ハーモニー」
この【縦の音楽】(厳密には、縦のハーモニーを重視、優先して
作られた音楽) を homophony ホモフォニー と よぶのです^^
🎵 ⇓の 譜例(ちょいと 見づらいけど ご容赦を^^;) 縦の線を引いてあるの、
わかりますか? これは 「春がき~た~ 春がき~た~♪」 のメロディに
下段部分は メロディを引き立てる 伴奏がついています。
🎵 ⇓ こちらは、F.Schubert (フランツ・シューベルト)作曲の「野ばら」冒頭部分。
ニホンゴの訳詞は、「わらべは 見~た~り~~、野なかの ば~~ら~~♪」
聴いたことある方、多いのではないかしらん?^^
🎵 この曲も 典型的な homophony (ホモフォニー)。
黄色のラインを引いた 横のラインがメロディ(歌)部分。
オレンジ色の縦線で 下にピアノ伴奏パートと 結ばれています。
🎵 もうひとつだけ 例を出しますね。 同じく F. Schubert の歌曲(ドイツ語です)
「音楽に寄す」(An die Musik) という曲。 「野ばら」と同様、黄色の横のラインがメロディ、
下二段は、メロディ(歌)の ピアノ伴奏パート。
和音(chords)が トントントントンと
リズム(rhythm)を刻んでいるのが わかりますよね?
これも メロディ + ハーモニー
= 典型的な「縦の音楽(縦のハーモニー優先の音楽)」=homophony です。
🎵
18世紀以降の音楽は 圧倒的に homophony が多くなります。
Polyphony☆ポリフォニーって何?
🎵 ポリフォニー= polyphony とは・・・
poly (多数の、複数の、というギリシア語由来) +phony (声、声部、音)
🎵 モノフォニー(monophony)=単旋律のメロディ、音の横の流れ が
その名の通り、「複数 重なり合ったり、交互に出てくる・・」
→【横の音楽 (メロディ、音の横の流れ を優先して 作られた音楽)】
こういう音楽を polyphony といいます。
🎵 polyphony は ⇓の カンタンな ラクガキみたいな 図のように、
テーマ(同じカタチで動く音の流れ)が 2つ以上あり、
部分的に重なったり、交互に出てきたり・・・ 同じ色で囲んだ それぞれのテーマ(短いものが多い)は、
それぞれ「対等」で、「主役」なのです。
🎵 「主役」が 2人いたり、3,4,5・・・
たーくさんいる場合もあり、楽譜をみると、 monophony, homophony に比べると、
なんだか ゴチャゴチャ複雑だぞ~^^; というイメージ。
🎵 ⇓ J. S. Bach クラヴィーア(ピアノ)平均律曲集より Fuga 1番 冒頭
polyphony の音楽を 集大成したのが J.S. Bach といわれています。
🎵 ⇓ 小学生中学年頃から、J.S. Bach (いわゆる 大バッハ)の音楽入門編で、
2声(にせい)の インヴェンション invention が 他の教材に加わりました。
🎵 これは ご存じの方も きっと多い、2声インヴェンションの 第1番(鍵盤楽器。バッハの時代はオルガンかチェンバロ。現在は ほぼピアノで練習、演奏が多いですね)
🎵 ⇓ ごちゃごちゃ 色で囲ってありますが、同じ色(ピンク、ブルー、オレンジ、グリーン、イエロー)で囲んだところが、「同じ動きをする音=横の流れ」。
🎵 ピンクとブルーが重なっていたり、オレンジとグリーンが びみょーにずれて 重なっていたり、
いろいろですが、
「横の流れ」を ブチブチ切らないように気をつけながら、
「縦のハーモニー」も 聴いて
弾くのです。
🎵 正直、先生の 鉛筆書きで ぐるっと囲んだ「テーマ」 という意味、
子どもの頃、私は ふぅーん・・・と思いながら、ホモフォニー「縦の音楽」のように
メロディ+伴奏じゃない この音楽には 戸惑い、よくわかっていなかったと思います^^;
🎵 実際、他の教本の曲は どんどん進むのに、私は Bachの曲が なかなかうまく弾けず、
先生に「合格!」を いただけなくて、徐々に凹んでいったのでした~(たらりーん!)
🎵 この時、先生はわかっているけど、 生徒は(実は)よく理解できていない・・・
それがモンダイだったなーと思います。大人になるまで バッハの音楽(演奏する側として)
常に苦手意識を持つようになっちゃったし・・・
🎵 生徒としても、「〇〇がわからないから、 わかるように説明してほしい」 と
言えればよかったんですが・・・ バリバリ弾けちゃう その先生には、
当時、何だか 気おくれして、口に出せなかったんです。
🎵 それに、具体的に ○○が どういう意味で、どうすれば
技術的な問題(弾きにくい~ と思い込んでしまった^^;) を解決できるか
質問する内容自体、
当時 よくわかってなかったんだなーと、今ごろ思います(笑)
🎵 polyphony という 音楽は、「縦の 和声(ハーモニー)」より、「横の流れが主役」、
「横方面優先」なのですが、 めちゃめちゃに 横のメロディを並べたり、重ねただけでは
ありません。
🎵 「横方向重視」だけれど、 それぞれの「主役」が びみょーに重なった時も、
縦のハーモニーも 不快な音にならないように、ちゃんと考えて 作られています。
🎵 ⇓は 同じく J.S. Bach (ヨハン・セバスティアン・バッハ)、
「二つの🎻🎻 violinのための 協奏曲(コンチェルト)」冒頭です。
🎵 二人 🎻のソリスト(独奏者)+ Tutti (伊 一緒にという意味)
1st violin(s) + 2nd violin(s) 後方で 合奏パートを受け持つ複数グループと、
それぞれのパートから 代表1名がsolo (ソロ)パートを弾く、という協奏曲です。
本来はチェンバロで弾いていた下二段は、現在は ピアノを使うことがほとんど。
🎵 専門的なので、覚えなくていいですが、こういう「横重視」だけど、重なった時の
「縦ハーモニー」も ちゃんと考えて作る 作曲技法を「対位法=counter point(英)、kontra punkt (独) 」といいます。
🎵 音楽を勉強する際、作曲専門家にならなくても、「縦の音楽=和声学 harmony」と、
「横の音楽=対位法 counter point (kontra punkt)」は 必修で授業があります。
(正直いうと、私には、面白い・・とは思えなかったんですが(笑))
両方 混ざっている音楽も たくさんある!
🎵 時代によって 「横の音楽」が多かった時(バッハの頃、最盛期)もあれば、
「縦の音楽」中心になってきた・・・という歴史があります。
🎵 が・・・「対位法=横の音楽」も フーガ(Fuga)や カノン(Canon , Round 輪唱)、
現代の作曲でも、見直され、新しい形で使われている作品も多く、
「縦」だけ、「横」だけ・・・ という区別できない音楽、たーくさんあります。
🎵 古い「横方向中心」の音楽でも、部分的には homophonic (縦ハーモニー重視)だったり、
混ざっている曲、とっても多いのです。
🎵 ⇓ 私が 留学中、指揮法の授業で 実際に使った O. Lasso (オルランド・ラッソー)という、
古い作曲家の Super flumina Babylonis (聖書、バビロンの大洪水をテーマにした 4部混声合唱曲。)
基本、「横の音楽=polyphony」(1,2枚目)ですが・・・
🎵 同じ曲の 中間部は ピンクの縦線が 引いてあるように、 この部分、homophony (縦優先の音楽)に なっています。
🎵 でも、こんな風に 主な3つの作りがある・・・と 知っていると、
今まで聴いた音楽(クラシックに限らず、ジャンルいろいろ)も、
あ? これはもしかして 「縦中心」「横優先」「単旋律?」・・・・
聴き方も、歌ったり 何か演奏する方なら、演奏する時の視点が ちょっと変わるかもしれませんね・・と 期待したりする(笑)
まとめ
🎵 本当に ざーっくりですが、 音楽の基本的な 3つの「つくり」
1. monophony (単旋律)、
2. homophony (縦のハーモニー重視、メロディ+従者のハーモニー、という カタチの音楽)、
3. polyphony (横の音の流れを重視。その流れのパターンが いくつも重なりながら、
ハーモニーも・・・という「横方向重視の音楽」
こういう 名前で だいたい こんな意味なのか~! と
伝わったら とても しあわせです^^💗
🎵 最後まで ごらんいただき、どうもありがとうございました。
🎵 それではまた See You !
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